屋根葺替え、雨漏り工事

数回の増築を行い、屋根が変則的な造りになった結果、雨漏りが発生した物件です。

葺替え

葺替え箇所はセメント瓦陶器瓦の二種類が使用されていました。
今回は下地補修からの陶器瓦葺きを行います。ちなみに屋根の作りは3寸勾配の為、水終いを考慮し、低勾配用の瓦を使用します。

瓦を撤去

既存の瓦を撤去します。
この時点で野地板が大分たわんでいるので、踏み抜かないように注意しながら撤去して行きます。

コンパネ貼り

垂木の位置に気を付けながらコンパネを貼っていきます。
野地板の劣化が激しい為、気を付けて貼らなければいけません。

ルーフィング貼り

次にルーフィングを貼って行きます。
既存のルーフィングは腐敗して、ほぼなくなってしまっていました。今回使用するゴムアスファルト製のものは耐久性・耐候性が高く、浸水を防いでくれます。
貼る順番(下から貼ります)と重なりを注意しながら貼って行きます。

屋根葺替え

瓦固定用の桟木と、高さ・淵の上がりを調整する為の胴縁を取り付けて行きます。
この工程で瓦を葺いた後の瓦の並びや割付が変わってくるので慎重に取り付けます。

谷部分の淵にも桟木を打ちますが、これで谷の直線の位置が決まるので位置を慎重に決めます。
ちなみに、今回は葺き替えであり下地の状態も良くないので、きちんとラインが取れない箇所が出てきます。ですので、施工後の見え方をイメージしながら微調整していきます。

瓦を屋根の上に移動

瓦を屋根の上に移動しました。
一箇所に間まとめると荷重で屋根を付き抜けてしまうので、均等にバラけさせます。

瓦の違い

右が普通の瓦で、左側が低勾配用です。
水の煽りが多くなっているのと、周りの淵が高くなっているのが分かると思います。

谷板金

まず、谷板金から取り付けて行きます。
今回使用したのはステンレス製の谷板金で、耐腐食・耐久性がある素材です。
色は銀・銅・黒がありますが、全体的なバランスを考え、高級感のある銅色を使用しました。

谷がある屋根は、そこから水漏れする事が少なくないので、重なり・曲げを注意しながら取り付けて行きます。最近では瓦が被さる部分にスポンジ(ケミカルシーラー)を取り付けます。これでより水の浸入を防ぎ易くするのですが、このスポンジは半分から上と下の材質が違い、より瓦にフィットし易くなった優れものです。

壁内、唐草、ケラバ、谷際

壁内、唐草、ケラバ、谷際を取り付けて行きます。
壁内は捨て谷を入れて水漏れしにくくしておきます。唐草は7釘と言う釘で固定し、すれない様にしておきます。ケラバは割り付けを考え外側への出を調整します。谷際は通りを考えて一枚一枚カットしていきます。細かい物はステン線で固定しながら葺いて行きます。

地瓦

次に地瓦を葺いて行きます。
割付の時点で墨は打っているのでその墨と、瓦をはめた時のずれがないか確認しながら葺いて行きます。
ちなみに地瓦部分は2枚に1枚は釘止め、配置は千鳥位置で止めて行きます。

壁内

次に壁内を仕上げて行きます。
南蛮を詰めてノシ瓦を入れ込んで行きます。葺き替えで水切りを残す場合、南蛮を押さえ込むように入れる事が難しいので奥に押し込みながら入れて行きます。また、ノシ瓦のつらを合わせた時点で近くの瓦を踏まないようにします。ズレたり歪んだりという事が起きない様に出来るだけ動かさないようにします。

壁内板金

ちなみに今回5箇所ある壁内の中で一箇所だけ割りの厳しい場所がありましたので、その箇所には板金を追加使用しています。

棟

次にを積んで行きます。
今回は3段積みです。ただし、葺き替えの場合、野地板は少なからずたわんでいます。なので1段目を積んだ時点で水平を保ち、その状態で固めて棟を積んで行きます。棟は浸水防止の要であり、見た目上も大きな割合を占めていますので、慎重に積んで行きます。

完成

棟を積み上げ、冠瓦棟尻を取り付けたら完成です。

樋の交換

屋根の葺き替えの場合、軒先の樋が、新しい瓦に流れてきた雨水を上手く受けられない事があります。
そのため、樋の交換を行うことがあります。

トタン部分

また、増築をされている箇所が何箇所かあり、その屋根であるトタン部分も塗膜の劣化が激しかった為、塗装を行いました。

今回は工期もありましたので、お客様に了承を得た上でサービス工事として行いました。